北林さん 出身は、島根県の奥出雲という山の中に生まれて、
自給自足でお茶もうちで作ってました。
母が摘んで入れてくれたお茶はおいしくて今でも忘れられません。
縁があって、妻の実家に婿入りしてきました。
北林さん 長年七尾で生活していくうちに、この土地にあった風土を受け継いで、
いいものは残していきたい、一本杉商店街の古いものを残していきたいという思いが
強くなっていった。当時、有形文化財として登録されている町家は、
津幡から奥能登までには一軒もないと聞き、だったら一本杉に第一号だと思い、
あるだけ申請してしまえということで、私たちの町会でお金を出し、
七尾市の文化財審議委員会や大学の先生も説得して、
結果、有形文化財を5件も登録をすることができた。
北林さん 町づくりのために有形文化財の登録をした後、のれん展をしないかという声がかかった。
「棒が一本あればできるじゃないか。こんな楽なことはない!」と思ってやり始めたのがきっかけでした。
その中で試行錯誤を重ねて、一本杉でないとできないのれん展、語りべ処を始めた。
食彩市場や美術館、いろいろなものとセットになってようやく最近では旅行代理店がツアーを組んでくれるようになった。
お金がないところから始まったのがよかった。
お金がないから、七尾の生活文化に触れてもらおうということになった。
それだったら自分たちの地なので、無理せずに続けてこれている。そこに気付いたのが良かった。
北林さん 今の現状では、移住したい方も、
一度県外に出て能登に帰ってきたい人も、生活に不安を感じてしまう。
私たちは、そういう新しく移住したいと考える人に、
「これなら来たい」「これなら行きたい」と思ってもらえるような受け入れ態勢作りにこれからも取り組んでいきたい。
私たちみたいな年寄りがしなきゃいけないのはそれしかないと思っています。